夢のデパート

1年に1回くらい、ものすごい量の夢を見ることがある。普段のよく夢を見たときはせいぜい4つか5つくらいの夢しか覚えていないが、そのときは15とか20とか、もしかしたらもっとたくさんの夢を見る。時計を見た間隔と自分の感覚から考えると、どうやらその夢のなかでは時間が数倍のスピードで流れているらしい。実際の時間は15分でも、見た夢は1時間くらいに感じられるのだ。そんなのは脳の処理が暴走しているに違いないので、身体はずいぶんと疲れる。これで私が小説家かなにかだったらいい題材集めにもなるだろうが、そんなことはないのでひとりで疲れたり面白がったりするだけだ。
夢が次から次へと現れるので、「夢の遊園地」とでも呼びたいところだが、それは舞浜にあるので「夢のデパート」である。別に「夢の回転寿司」でもよかった。夢のデパートではいろんな夢が次々に現れる。「いろんな夢」は「うろんな夢」に似ているがいまは関係がない。うろんという言葉の意味については各自ググったりヤフったりしてほしい。
いろんな夢といっても同じ人間が同じ日に見る夢だから、実はバリエーションは少ない。空を飛んだり、人が死んだり、美しい歌に涙したり、樹の剪定をしたり、復讐をしたり、人が生き返ったり、復讐をしたり、クロネコヤマトの発展について考えたり、水に潜ったり、空を飛んだりするくらいである。
私は「という夢をみた」というサイトを運営している。正確にいうとTumblrというサービスを利用してそういうものを管理している。このサイトは、twitterに書かれた夢のなかから私がグッときたものを、引用して集めているものだ。ウェブ上のスクラップブックのようなものである。このサイトを運営するにあたって、私は「Twitter検索」の「夢」の検索結果をRSSリーダで購読している。これを読んでいると、実に様々な夢を人は見るのだと思わされる。
よくtwitterに書かれる夢で、私がまだ見た記憶のない夢がある。歯が抜ける夢だ。みなさんは見たことがあるだろうか。1本だけ抜けるのではない。すべての歯が、いっせいに、ぼろぼろと抜け落ちるのだという。twitterに報告する人たちはみなそう書く。私はそんな夢は見たくない。フロイト先生がなんと言っているのか知らないが、どうせ性欲の現れだろう。歯がなくては性欲もなにもあったものではないだろうが。
他人の見た夢の話ほどつまらないものはないというが、それは語り方の問題である。他人の見た夢は面白い。それは私には見ることができないものだ。みなさんも面白い夢を見たら、誰かに話してみるといい。きっと嫌がられることだろう。そうやって人は大きくなっていくのである。