七時間目のUFO研究

七時間目のUFO研究 講談社青い鳥文庫 245-3

七時間目のUFO研究 講談社青い鳥文庫 245-3

ニセ科学批判」の菊池教授が以前紹介していた本です。表紙からも分かるように、子ども向けの小説。ではあるけれど、きっと大人に向けて書かれた本なのだと思います。


主人公が友人と一緒にペットボトルロケットの実験をしていると、友人が突然「UFOを見た」と言い出す。自分は見えなかったけれど、話をあわせて見えたことにしてしまう。その話が広まって、怪しげな雑誌やテレビ番組の取材がやってくる。


アダムスキー江尻』という人物が出演する『デムパの沼』というトンデモ番組がでてきたり、その人物の「宣託」を利用して施設誘致を目論む町長がいたり、マナーの悪い報道関係者たちが描かれていたり。こんな本を小学生が読んでいるんだ、ということを大人たちには知ってほしいものです*1

「(略) ぼくは共感はできなくても、アダムスキーさんのファンの気持ちっていうのは、想像できるよ。」
  (略)
「自分を導いてくれる絶対的な存在というものを求める……。自分がどうすればいいか、だれかに教えてもらいたい……。アダムスキーさんの言うことを盲信する人は、そんなふうに思ってるんじゃないかな。それはとても、楽なことだから。」
「楽、ですか?」
「ああ。自分で考えなくていいっていうのは、楽なものだよ。自分の考えで、自分の責任で、自分で選び取っていくのは、こわいものだからね。だれかが、絶対に正しいというものを教えてくれたら、生きるのは楽になると思う。」


(p188-189より引用)


さいころは、「絶対に正しい」ものの存在を信じていました。成長し、学習するうちに、「絶対に正しい」ものなど、ないということを知ります。でも、その状態を続けるのは簡単なことではない。


つくば市の図書館には入っていないようなので、身近な人たちに読ませたら寄贈しようかと思います。

*1:もちろん、この本を読む小学生も、ニセ科学を信じちゃったりする大人も、どちらも少数であるのでしょうけれど。