10分1000円の床屋に行ってきた

ただでさえ、床屋というと、オシャレからは遠く離れたところに位置する存在のように10代、20代、あるいは30代から50代のオシャレ人間たちは思ってしまうわけですから、10分1000円の看板を出している床屋は、存在すること自体が信じられないような業種かもしれません。
私も、以前から興味を持ってはいたのですが、ひどい髪形にされて泣くわけにもいかないので立ち寄ったことはありませんでした。
そんな10分1000円の床屋さんに行ってみたら、いろいろ感心したよという話を書きます。


10分1000円の床屋さんは、随所にコストを抑える工夫がなされていました。私が店内にいた15分程度で気が付いたことを列挙します。

  • 会計は、先払いの食券式。券売機は1000円札しか使えない(店舗での両替はしない)。
  • 順番待ちの客は、簡素な椅子に並んで腰掛ける。暇つぶし用の雑誌などはない。
  • BGMはFMラジオ。
  • 座席の前の鏡が開くようになっていて、客の荷物はその中に入れる。*1
  • 凝った髪型にはしない。
  • 切り終わったあとは掃除機で細かい毛を吸い取る。洗髪はしない。
  • ワックスなどのあらゆる薬品は使わない。
  • 床に落ちた髪は、座席の下の箱にホウキで掃き入れる。掃除はおそらく閉店後に行う。

これらの工夫は、大きく3つに分類することができます。
1つ目は、単純に、費用を抑える工夫。シャンプーなどをしないため水道代や下水道代は発生しません。雑誌や新聞の購読費も発生しません。
2つ目は、店員が楽をするための工夫。会計作業や清掃などをしないことで、店員はそこにある髪を切ることだけに専念できます。
3つ目は、店内滞在時間を短くする工夫。2つ目の工夫と重なりますが、店員が髪を切ることに専念しているため、本当に10分以内で散髪が終わります。看板を偽らないことは、顧客の固定化に繋がります。
「たしかに腕が素晴らしいわけではないが、下手だというわけでもない。それより、確実に10分・1000円でやってるんだから大したものだ」と客に思わせることができているように思いました。
今度行ったときは坊主にしてもらおうかと思います。

*1:クローゼットの表側に大きな鏡があるってことです。