テレビ雑誌を買う生活に憧れる

「俺、コンビニでバイトしてるんだけどさ」
「そうなの?」
「水曜になるとテレビ雑誌が売れるんだよね。発売日だから」
「そうなんだ」
「あれ、毎週とか、隔週のもあるけど、定期的に買う生活ってなんかいいよなって思って」
「そうかな」
「なんかさ、定期的に買うものがあるっていいなーとか思うな。あ、今日は水曜日だからテレビガイド買わんと、とか」
「よく分からんけど、それ、ジャンプとかとは違うの?」
「んー、マンガは続き物だから買うんじゃないの? じゃなくて、あれ、ほらテレビ雑誌ってようはテレビ欄じゃん。連載とかじゃないじゃん」
「まあコラムとかいろいろあるんだろうけど」
「そういうのはオマケでしょ、結局。買う人が求めているのは1週間分のテレビ欄なわけでさ、それを求めている生活スタイルとか、ああ今日は水曜だから週テレ買わんととか、そういうスタイルっていいよなと思うわけ」
「よく分からんな」
「俺も説明してたら分からなくなってきた」
「なんだよ」
「なんか、でも、あーこの人の部屋には1か月分くらいのテレビ雑誌が散らばってるんかなー、とか、コタツ入ってぼーっとテレビ観たりしてんのかなーとか思う」
「それ、いいのか?」
「あと、ビールとハーゲンダッツ買って帰る人とかもなんか感情移入できる」
「自分へのご褒美っぽいね、それ」
「まあでもテレビ雑誌の定期購読はいいよなって話。あ、通販のカタログもいいよね」
「そんなん買う人いるのか」
「いや、あまり」
「落とせよ」
「落ちはない」