「真壁のひなまつり」がすごかった

筑波山のふもと、桜川市真壁で開催されている「真壁のひなまつり」に行ってきました。
このイベントは、真壁の商店街や町家などがそれぞれ自宅に雛人形を飾りつけ、観光客はそれを見て歩くというものです。こう説明されても、それのどこが面白いのか分からないという方も多いでしょう。私も出掛ける前に公式サイトを見たのですが、どうも魅力が分かりませんでした。

この「ひなまつり」は、クリスマスの時期のイルミネーションに似ているように思いました。
Daily Portal Z の「浮かれ電飾を観賞する2007」という記事には、住宅街のほとんどの家が庭やベランダにイルミネーションを飾りつけ、ちょっとした観光地のようになっている様子が書かれていますが、この「ひなまつり」はそれを意識的に行っているという印象を受けました。


もともと真壁という町は、旧城下町ということもあり、古い土蔵や門などが登録有形文化財として登録されています。こうした町並みを観光資源として活かそうという試みが以前から行われており、6年前からは商店などが各家に雛人形を飾るようになったことからさらに観光地化が進んだということのようです。
桜川市は先日、日本観光協会の主催する「優秀観光地づくり賞」の金賞を受賞したそうで、その資料にこのあたりの話が書かれています。(PDF、2ページ目)


私が行ったのはイベント開催期間の最後の日曜日で、天候もよかったこともあり、会場は多くの人でにぎわっていました。
観光地の雰囲気というのは不思議なもので、ついつい財布の紐がゆるみます。雛人形を見るために商店の中へ入り、そこから、駄菓子を買ったりお土産を買ったりという行動へ自然に繋がります。
私と同行者が今回買ったものをあげますと、まず豆腐屋で豆乳、お菓子屋であんドーナツ、洋服屋でなぜか甘酒を振る舞われ、そこでお土産用の煎餅を買い、肉屋でコロッケとメンチカツ、また別の肉屋でコロッケと唐揚げ、酒屋で酒まんじゅう、茶店すいとんとデザートのあんみつ、最後にお土産用のまんじゅうと、実に食べ歩いています。本当はもっといろいろ食べたかったのですが、お腹と財布の都合が合いませんでした。
実情がどうなっているのかは分かりませんが、「ひなまつり」の経済効果はかなり高いように思えました。


面白いのは、ここで飾られている雛人形が特殊なものではないところです。一部には江戸時代や明治時代の人形も飾られているのですが、ほとんどは昭和のもの、その家で実際に飾っていたものや、結婚のときに持ってきたものなどのようです。なにも特別なものではないものが、数が集まって、意味づけがなされた上で並べられることで、観光資源として再生しているのだと感じました。

このような雛祭りに関するイベントは、全国各地で行われているようです*1。「ひなまつり」の効果や問題点について考えたり、各地のイベントの比較研究などをすると、これはちょっとした卒論になるな、いや卒論レベルでは収まらないんじゃないだろうか、そんなことを考えました。


また来年、行ってみたいと思います。

*1:ひな祭りなどのキーワードでニュース検索するとよいと思います。