結婚しました ―― 個人史の終わりと始まり
結婚した。
ついに、ようやく、はやくも、気が付いたら、結婚してしまった。ふたりで市役所に婚姻届を提出して、はい確認します、はい、じゃあ新しい戸籍謄本は発行までに一週間くらいかかるんで、あ、新しい名字の印鑑を登録してください、はい、じゃあこれで終わりですね、おめでとうございます……。
「節目」というものを意識しないように心がけて生きてきた。大学入学、20歳の誕生日、そのほかの誕生日、サークルの引退、大学中退、就職など。意識して「節目」を無視してきた。
今回はそうもいかなかった。何度も「ああ、もう結婚するのか」「今日で独身も終わりか」と思った。そう思わずにはいられない。大イベントなのだ。
妻とは長いこと同棲してきたが、結局のところ、俺はひとりで生きていた。ぼくの歴史は、あくまで、父親と母親から始まり、家族がいて親戚がいて地元の友達がいて、その延長として「いま」があった。
今日からは、ひとりではなくなった。このあとの歴史は、どうしても、ふたりで作っていくものになるのだ。
結婚した。
それは法律の問題であり、親戚付き合いの問題であり、社会的な体面の問題であるのだけれど、やはりそれ以上に、パートナとの関係の問題である。ひとりではなくなる。ひとりではなくなるのだ。
俺の個人史は、たしかに、今日終わった。第何章だか知らないが、ひとまず第1部が終わった。
新しい歴史を見ていくパートナが彼女であることを、とても嬉しく思う。彼女とともに次の個人史をつくっていくのだ。
謝辞を述べるべき相手はたくさんいる。両親、家族、これまで私を導いてくれた人たち。そして彼女にとってのそれらの人たち。
スペシャルサンクスとして、19歳の頃に好きだった女の子に感謝を。あのとき私を好きになってくれてありがとう。あなたと恋愛ができたから、いまの私があるのだと思います。
結婚した。
別に、なんということはない。みんな当たり前のように結婚しているじゃないか。
恐れず、自然に、やりたいようにやればいい。
みなさま、そして妻となった人、これからもよろしくお願いします。