一生分の「ありがとう」を

手作り結婚披露宴のつくりかた - うしとみ
先の記事でも書いたように、結婚披露宴は親しい友人たちだけで、なじみの居酒屋でおこなった。式次第としては、新郎挨拶、つまり私の挨拶はいちばん最後になる。
たしか、こんなことを言った。


「こういうとき、普通は、『本日は私たちのためにお集まりいただき、ありがとうございました』というようなことを言うのだと思いますが、本当に、本当に、心から、本日はありがとうございました。」


このあとも500文字くらいは喋ったはずだが、よく覚えていない。とにかく、『本当に、心から』、「ありがとう」という気持ちになった。あのような感情はおそらく人生で初めてで、たぶん今後もほとんど感じることはないのだろうと思う。
宴会がひとまず終わって、引き出物を渡しながら個別に挨拶をしていたときに、先輩から「きみが あんなふうに『ありがとう』とか言うの、めったにないよね」というようなことを言われ、「いや、ほんとにそうだと思います」と答えた。
60人のお客さんがいて、ひとりにつき5回以上は「ありがとう」と言っただろうか。おそらくあの数時間で300回くらいは「ありがとうございます」と言っていて、この密度で「ありがとう」を言うのは一生に一度のことであるだろうし、回数の問題だけでなく、実感として、心から本当に「ありがとうございます」が言えたのも、一生に一度のことであったのかもしれないと思う。