「原発についての意見文」のアイディア
コメントで「原発についての意見文」を教えてほしいというリクエストが来たので、考えてみる。
「原発について」と2012年現在で言うとき、2011年3月11日に発生した福島第一原発の事故を考慮せずに発言することはできない。また、2012年夏の時点で、「原発についての意見」は複数の立場の人が、様々な強さで発言しており、「正解」がどこに落ち着くのかわからない。
意見文に正解がないのは当たり前だと思うかもしれないが、原発問題についてはもうちょっとむずかしい。考えてみよう。
たとえば「いじめによる自殺」問題についての意見には「正解」がある。「いじめはよくない」、「いじめをなくすのは難しい」、「自殺はよくない」などが「正解」だ。部活動についての意見にも「正解」はある。「部活を頑張ることはいいことだ」、「部活動を通して、勉強以外のことを学べる」、「部活ばかりに打ち込みすぎるのもよくないので、勉強もちゃんとやろう」など。
つまり、「正解」とは「一般的な意見」と言い換えることができる。みんなが共有できる「一般的な意見」があれば、なぜその意見が一般的なのか、一般的な意見だけど間違っている可能性はないのか、反対意見はないのか、などの話をすることで、「正しい」意見文が書けるだろう。
ところが、原発問題についての意見というのは「正解=一般的な意見」がまだ固まっていない。「脱原発」が「正解」になっていきそうな雰囲気は感じられる。ただ、「脱原発」にしても、「日本中のすべての原発を速やかに廃炉にするべき」までは行かず、「できるだけ原発を減らしていき、最後にはゼロにしたいけど、簡単にはできないよなあ」まで譲歩すると弱い、「とにかく脱原発を叫び続ける必要がある」あたりで固まるのかな……?という印象もある。
このような、正解が決まっていない問題について考えることは、大切なことだ。考えるべきだ。しかし、学校の宿題として意見文を書いて提出する場合には、あまり極端な意見は言わないほうがいいかもしれない。学校の先生は、たぶん、極端な意見を求めていない。そのあたりのことは先生に確認してみてもいいかもしれない。
さて、ここまでに書いたのは「『原発についての意見文』についての意見文」。上記のような「意見文」を提出すると先生に目をつけられる可能性があるので面白いですね。
もう少し普通の意見文を書きたい人へのヒントは、以下に示します。なお、こちらの記事でも書いたように、どんな事柄についても「賛成」、「反対」、「興味なし」の3つの意見のうちのどれかは表明できるはずです。その意見になる根拠を説明すれば「意見文」になるでしょう。
原発についての話題
- 事故はなぜ起きたのか
- 誰が悪かったのか
- 事故を起こした責任は誰が取ればいいのか
- もしあなたの友達のお父さんが東京電力の社員だとしたら、あなたはどう思うか
- もう事故は起きないのか
- これからも原発を使っていくのか
- 放射線による被害について
- どのような健康被害があるのか
- 健康への影響は報道されているのか、その報道は十分なのか
- 誰を信頼すればいいのか
- どういう知識や情報があれば自分を信頼できるようになるのか
- 経済的な被害は誰が補償するのか
- 市民運動について
- 国会前デモは何をしているのか
- デモで叫ばれていることは正しいことなのか
- 私も声をあげるべきなのか
- 私はどのような声をあげるべきなのか
- 話し合いで何が解決して何が解決しないのか
- どこまで議論しなくてはならないのか
- 未来について
論点はこの他にもたくさんあります。たくさんの人が議論をしています。あなたの意見を持とうとしてください。健闘を祈ります。