台風と社畜とそれぞれの正義

2013年10月16日(水)の朝は、台風26号の影響で、首都圏の交通網は大きく乱れた。台風26号が直撃することは15日午後からわかっており、またそのような場合に鉄道ダイヤが乱れたり運休となったりすることは、この数年の状況を知っていれば(あるいは知らなくても)よく予想できた。今回の台風では、出勤困難を見越して事前にホテルに宿泊する人が多いという話題もあった。

電車が止まるような災害時に、会社へ行くべきか。「自宅待機」の指示を出さない会社は、批判されるべきか。それぞれの場合によるだろうと思う。無意味に思えるのに出社を強要する会社を「ブラック企業」と呼んだり、宿泊することで出勤しようとする人を「社畜」と呼んだりすることは簡単だが、それぞれにはそれぞれの事情がある。
たとえば鉄道会社は、たとえ運休するのだとしても従業員が出勤してこないと対応に困るだろう。電力や通信などインフラ系の仕事も、できれば止まらないでほしいなと思う。コンビニや喫茶店ファストフード店も、できれば開いていてほしい。病院や警察などもまた。無邪気なユーザの立場だから勝手に言えるような話ではある。とはいえ、企業対企業の仕事が中心の会社においては、業務を一時停止してもよさそうだとは思う。特に今回は台風が原因なのであって、せいぜい半日もすれば災難は去ってしまうことが予想できる。その半日が本当に重要なのか、と。

「台風が来るとわかっているのだから、会社を休みにするべきだ」と言う人も、「台風が来るとわかっているのだから、台風に邪魔されないように出勤するべきだ」と言う人も、それぞれに正しい。しかしそれらをどう捉えるか、どう感じるかは、また別の話になる。自分の正しさと、自分より強い立場の人の正しさとが一致するとは限らない。
一致しなかったとしても、それを受け入れられれば構わないだろう。自分はカラスは黒いと思うが、上司が白いと言うので、白にしておく。そう思ったら、なんだか本当にカラスが白っぽく見えてきた、それもいいと思う。自分と異なる正しさを受け入れるのなら、本心をすっかり騙してしまうのがよい。自分を説得できないなら、それは受け入れているとは言えない。
受け入れられないのであれば、環境を変えるしかない。いまいる会社の考え方を変えさせるか、別の考え方をする会社へ転職するか。あるいは、誰よりも偉くなるか。

それぞれに正しさがあり、それぞれの正しさはしばしば衝突する。自分のなかでも正しさは変化する。衝突に対しては、受け入れるか受け入れないかしかない。受け入れられない状態を長く続けることは、心身の健康に支障をきたすこともあるだろう。そして、それぞれの人には、それぞれに、守りたいものがある。
私は、頑張らないことにした。受け入れがたい正しさを受け入れるための努力は、しないことにした。私に言えるのはそれくらいだ。