映画『5つ数えれば君の夢』が素晴らしいという話

私はわりと単純な感性をしているので、美少女が美しくある映像にループ系の音が乗ってるのなんか大好物で、 Perfume の Spending all my time のMVなんか本当に好きです。

映画『5つ数えれば君の夢』を、渋谷シネマライズで観ました。
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主演は、東京女子流の5人。というと、ああアイドル映画ね、となるのですが、この映画は、アイドルに演技経験をつけたり映画主演という箔をつけたりするためのしょうもない映画とは違うのです。
東京女子流、残念ながら、演技は下手です。しかし、彼女たちは美少女です。美少女なのです。
演技のおぼつかない美少女たちを、その演技力を逆手に取ることで、美しい映画とすることに成功しています。
美少女たちが、過剰に詩的で舞台劇的な長台詞を、訥々と読み上げるように発するとき、そしてそこに鮮やかながら派手さを抑えたピアノ曲がループ気味に乗るとき、それを静謐さを持ってカメラが捉えるとき、その映像は圧倒的な美しさをもつのです。


アイドルに関して、私はももいろクローバーZがとても好きですが、東京女子流は好きにならないままのように思います。それでも、この映画は本当に素晴らしかった。むしろ、東京女子流のファンにとっては、面白くない部分も多いはずです。
普通に考えると、アイドルグループの映画であれば、メンバそれぞれの役柄は同じ程度に主役級になるはずです。どうしても誰かひとりは「主演」になり、その他数名が「助演」になるのは仕方ないでしょうけど。
ところが、『5つ数えれば君の夢』では、5人の扱いがずいぶん違います。それぞれの役柄は、「謎の美少女」「パッとしない少女」「冷たい美少女」「嫌な美人」「その友達」みたいな感じです。「その友達」役もかなりオイシイし、中盤から終盤に掛けてはかなりグッと来るのですが、自分が彼女のファンだったら喜ぶかというと微妙な感じがします。
この映画がどういう経緯でつくられたのかわかりませんが、東京女子流というパッケージをどーんと売ろうという意思は感じられません。東京女子流っていうアイドルグループがいて2014年にこんなふうに輝いている/いたんだよ、という映画になってしまっています。
これ、誰が観るんだ。誰に観せたいんだ。
私は、アイドル産業に興味のない人にこそ、観てほしいと思います。


私の美意識と、他者の美意識が合うとは限りませんが、私は大きな声で『5つ数えれば君の夢』を薦めます。
2014年3月末現在、渋谷のシネマライズでしか観ることはできません。ちゃんと評判になって、もっとたくさんの映画館で掛かってくれたらいいなと思います。