『やっぱり肉料理』、肉を喰おう肉を。

お付き合いのある料理人がレシピ本を出版したので購入。いい本なので紹介。

やっぱり肉料理~カリフォルニア・キュイジーヌのとっておきレシピ

やっぱり肉料理~カリフォルニア・キュイジーヌのとっておきレシピ

本書『やっぱり肉料理』は、肉料理の本である。出てくる肉は、牛、豚、鶏、羊、鹿。いきなり「肉は塊で買おう」なんて提案してくるし、最初のレシピはサーロインステーキだ。肉を喰うモードになっておかないと、ちょっと圧倒されてしまう。
とはいえ、肉の保存方法や、ステーキの焼き方など、丁寧に説明されており、肉初心者にも安心の構成になっている。
本書に登場する料理は、Amazonのページに一覧で掲載されている。


料理の写真がどれも美しく、食欲が適度に刺激させられる。肉料理のパワフルさがありながらも、上品で清潔感があるページ作りになっており、胸焼けするようなものでもない。
肌のほとんどが露出した水着姿のアイドル写真集を何度も繰り返して眺めることは疲労するが、美女が普段着で何気なく写っているような写真集ならばいつでも手に取れる(個人の感想です)、そんな感じ。
キッチンやリビングに置いておいて、なんとなくパラパラめくるのにも楽しい本だ。


料理の作り方は、インターネットで検索すれば無尽蔵にヒットする。しかし「検索すれば」見つかるということは、検索しなければ見つからないということ。「今日の夕飯なんにしようかなー、やっぱり肉料理がいいよなー」と思ったときに「肉料理」で検索したところで、いい具合に食べたい料理の作り方が見つかるとは限らない。
たしかに、検索すれば、本格的なビーフカレーの作り方や、豚バラチャーシューの作り方はわかる。けれど、「鹿肉のジャーキー」を作ってみようなんて思いつくことは、できないだろう。本書のいくつかの取り組みやすいレシピを試したのち、この本に載っているのだからイケるだろうと「鹿肉のジャーキー」に取り組むこともあるだろう。そのときは、「鹿肉 冷凍 通販」などで検索すればいい。


本に載っている情報のほとんどは、インターネットに散らばってはいる。だから本は買わないという考え方もあるだろう。
しかし、書籍であるということには、ある程度ボリュームのある情報が、一定の精度にしたがって編集されているという価値がある。特に本書は、ひとりの料理人による本だ。内容にブレがない。
決して高価ではないが、安い本でもない。この本を買うお金でレストランでステーキが食べられる。
それでも、1冊のよくできた料理本を手元に置いておくことの意義はある。この本を道しるべとして、これから肉料理への造詣が蓄積されていく。そこにはたった1皿のサーロインステーキだけでは楽しめないほどの幸せがあるだろう。