パンが並べられていくのを見ていた


これはなんですか。はい、これはパンです。


というわけで、今回は、筑波大の旧・体芸棟事務区で、10月2日〜6日まで公開制作されていた「ひたすらパンをちぎり並べる」という作品についての報告です。
(このレポートはid:f_iryo1が書いています。作品の制作者はイノウエみゆきさんで、筆者の知人です。)


「ひたすらパンをちぎり並べる」。
この作品は、ただ、食パンの白い部分をちぎって、耳の部分を並べていくという作業を繰り返しただけのものです。とにかく、ひたすらパンをちぎり並べていく。1枚1枚、丁寧に、中をくりぬき、並べる。その繰り返しです。


最初は何もなかったところに、少しずつパンが並べられていきます。

この写真では5段くらい積まれているようです。この時点で食パンは100枚くらいでしょうか。



これで700枚くらいかな。隙間から光が差し込んできて、きれいです。陽に当たる側と当たらない側で、パンの乾燥する具合が異なるため、だんだん山の形が変わってきます。崩れると大変なので、このあたりでパンの並べ方が変わります。




部屋の反対側に、横に並べ始めました。写真は、ちぎったパンを後ろに放り投げている瞬間です。(ちなみに、黒い服を着ているのは、パンの白い部分が映えるようにという理由だそう)
この、パンを投げる様子は、見ていて楽しかったです。作者に聞いてみると、放り投げるのも楽しいけどパンをちぎるのが気持ちいいのだとか。
ちょっと体験してみたかったのですが、帰って来れなくなるような気がして、やめておきました。観賞する分にはいいけど、実際にパンをちぎったり投げたりしてしまったら、もうパンを食べられなくなってしまう気がしたのです。


5日間、朝から夕方まで、ひたすらちぎり並べ続け、完成したものが、こちら。



山を後ろから見た様子。

使った食パンは合計3786枚だそうです。圧巻。



さきほど完成という言葉を使いましたが、作者にはあまり「完成」という感覚はないでしょう。時間がきたから、そこで終了したという感じだと思います。
最終日の翌日から、筑波大は学園祭でした。学園祭に訪れた人たちがこの作品を見ていたら、どんな反応をしたでしょうね。


制作の様子の動画。2分5秒あたりからは、パンが1段ずつ増えるごとに撮影した写真をつなげたもの。
http://video.google.com/videoplay?docid=7556248291137001466

制作終了後の作品は、近くの林*1に並べて、土に返すんだそうです。まだ並べるんですね…。

タイル張りの床に並んでいたときよりも、土の上に並んでいるときの方が、よりシュールな感じ。

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子どものころ、『食べ物で遊んではいけない』と言われたことはありますか?
『世界には、飢えに苦しんでいる子供たちが…』という言葉を聞いたことはありますか?
この作品に触れて、そういった言葉を思い出しましたか?


このレポートでは、ひとまず、そういう面倒な話はしないことにしましょう*2。作者は、問題提起をしたくてパンを並べていたわけではないでしょうから。

*1:大学の周りにはそういう場所がたくさんあるんです

*2:面倒な話はこっちに少し書きました。→ http://d.hatena.ne.jp/f_iryo1/20061031/1162287120