2013年俺川賞俺木賞ほか受賞作発表

2013年も残すところ2週間となっています。毎年この時期になると、1年間を振り返りがちです。
「俺文学賞」というのは、自分が今年読んだ小説のなかでよかった作品に勝手に賞を贈ろうという企画です。

一人称を「俺」としているのが、この企画の自由さを象徴しているような気がして好きなのです。
私がこの企画を初めて見たのは2009年12月30日です。このときは、俺川賞:遠藤周作「沈黙」、俺木賞:京極夏彦「魍魎の匣」、審査員特別賞:ドストエフスキー「罪と罰」となっています。このツイートに刺激され、私も何度か「俺川賞・俺木賞」を選出してきました。

2012年を振り返る

2012年は、候補作の列挙だけはしたものの、大賞を選ぶのは忘れていました。ここに1年越しで賞を発表し、2012年を簡単に振り返っておきます。
2012年俺川賞『ベルカ、吠えないのか?』。

ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)

ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)

選考時、この作品は間違いなく素晴らしいが、全体にハードボイルドな筆致などから「俺木賞」にふさわしいのではという意見も俺委員からあがりましたが、そもそも「俺川賞」に適した小説をほとんど読んでいなかったので、これを外すと『1Q84』になってしまうという状況でした。


2012年俺木賞『ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上』、『屍者の帝国』。

ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上 (1)

ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上 (1)

屍者の帝国

屍者の帝国

ニンジャスレイヤーはウェブ連載をときどき読んでいます。アメコミ風・ペーパーバック風の、作品愛にあふれる書籍にグッときました。


2012年俺デミー賞『桐島、部活やめるってよ』、『ゆっくり妖夢と本当はこわいクトゥルフ神話』。

桐島、部活やめるってよ(DVD2枚組)

桐島、部活やめるってよ(DVD2枚組)

『桐島、』は劇場で2回観て、2013年2月にソフトを購入して何度も観ています。おそらく、2012年末時点でちゃんと選考をしていたら、『まどかマギカ(テレビシリーズ)』が入賞していたことと思いますが、いま振り返ると間違いなく2012年は『桐島、』の年でした。
『ゆっくり妖夢と本当はこわい』はニコニコ動画に連載されていた映像作品ですが、マンガ化されているのでもう見られないはずです。あれがよかったのになあとは思います。

2013年の各賞受賞作

ここは退屈迎えに来て

ここは退屈迎えに来て

ここは退屈迎えに来て

この本は、正月に実家へ帰る新幹線で読みました。地方を生きること、東京を生きることを、センチメンタルになりすぎない文章で鮮やかに切り取った、すごくいい小説です。俺木賞。


『機龍警察 自爆条項』

機龍警察 自爆条項〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

機龍警察 自爆条項〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

すごくカッコいいです。「暗黒市場」が文庫になるのをずっと待っています。俺木賞。


『都市と都市』

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

面白かった。都市が主役という、ちょっと突飛なお話ですが、とにかく面白かった。海外部門賞です。


ハサミ男

ハサミ男 (講談社文庫)

ハサミ男 (講談社文庫)

面白い小説が読みたくて本屋をうろうろしても、並んでいるのはミステリーか青春かファンタジーかという感じで、いったい何を読んだらいいんだろうと思いながら選んだのがこの本でした。面白かった。これならまだミステリーを読んでもいいなと思ったのです。メフィスト賞受賞作に対してどうなのかとも思いますが、俺スト賞。


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