フルートの足部管

コンサートフルートの音域は、普通、五線の下に1つ架線が付いたドから、その3オクターブ上のドまで(参照)。高音域は、技術しだいでさらに上まで出すこともできる(参照)が、最低音は管の長さによって決まっていて、それ以上低い音を出すことはできない。
一般的なフルートの最低音はドだが、その半音下のシまで出せる楽器もある。これはH管(ハー管)と呼ばれている*1。なぜ低い音が出るのかといえば、管が通常よりも長いからだ。

この写真の上が一般的なフルートの足部管で、下にあるのがH足部管。
同じモデルの楽器でも、H足部管タイプの方が使う金属の量も増えるし、需要も少ないので、いくらか高くなる。
H足部管のみでの販売もされている。安いものでも数万円する。曲の中で低いシの音が出てきて、そのシの音が鳴らないと音楽が成り立たないからどうしても必要だ、という場合であっても購入する気にはなれない。
私が高校生のときに、低いシの音が鳴らないと成り立たない曲を演奏する機会があった。このときは、頭部管を目いっぱいまで抜いて、楽器全体の調を半音下げたものを用意した。しかし、音色的に優れていなかったため、さらに試行錯誤した結果、クオカードを丸めて足部管に嵌め込む方法が良いと分かった。ただし、この方法は、本来の最低音であるドの音は鳴らせなくなるので注意が必要。
H足部管のメリットは、単に半音低い音が出るというだけではない。高音域が安定しやすくなるし、芯のある音になりやすい。楽器購入の際は、試奏して確認していただきたい。あまり違いが分からないように感じた場合は、無理にH管を選ぶ必要はないだろう。

*1:たぶん