自宅でわりと本格的なスタバっぽいコーヒーを飲みたいときに選ぶべき器具について

自宅で「スタバっぽいコーヒー」を淹れる方法について、私が現時点で使ったことのある器具をもとに検討する。

スタバっぽいコーヒーとはなにか

エスプレッソ + フォームドミルクを、「スタバっぽいコーヒー」とする。スターバックスラテは、エスプレッソコーヒーに泡立ったミルクを入れてつくっているはずだ。ということで、「エスプレッソ」と「フォームドミルク」をつくるのに必要な器具について検討する。

デロンギエスプレッソ・カプチーノメーカ「EC221」

さっそく本気のエスプレッソメーカが登場。それなりにいいお値段がする。

残念ながら、このEC221は積極的には薦められない。特に、普通の人には薦められない。これを使っていいのは、自宅でコーヒーを飲むことが人生のなかでわりと重要になっているタイプの人だ。下の写真は私のいま持っているコーヒー器具たちだが、これではまだEC221を満足に使うレベルに達していないと思われる。

めんどくさいのだ。めんどくさいし、気難しい。手が掛かる。そういう子ほど可愛いので、それでもいいと思うが、そこまでコーヒーを愛せないかもしれない人は、次項の「マキネッタ」を導入してほしい。
もちろん、慣れればいろいろと使えてくるだろう。しかしながら、この器具に慣れるまでの道のりは険しい。特に厳しいのは、物理的に筋力や踏ん張りのセンスが要求される点だ。エスプレッソを淹れるために運動神経使うなんて、ちょっとスマートじゃない。
エスプレッソマシンは高圧で一気に抽出させる仕組みだ。圧力確保のためにギュッと栓を締める必要がある。それはわかる。わかるのだが、このEC221は家庭用のため本体があまり重くはない。設置場所はリビングやキッチンの空いたスペースとなるだろうから、そこで踏ん張りを利かせて強力に締めるのは困難すぎる。
とはいえ、何度か使っているうちに、ハンドルの締め方はコツが見えてくるし、動きもよくなってくる。マシン全体を抱きかかえるようにしながら、右手でハンドルを床と水平に強く押す。これが現状でわかっているコツだ。利き手や設置場所によっては、左手でハンドルを引き寄せる方がうまくいく場合もあるかもしれない。設置場所を壁際などにできれば、体重が乗せやすくなり、締めやすくなるだろう。繰り返しになるが、そんな面倒な思いをしてまでスタバっぽいコーヒーを飲みたいか、ということだ。
筋力問題を脇においたとして、まだこのエスプレッソメーカには高難易度の問題がある。致命的な話なのだけど、味の安定がかなり難しい。ただし、これはカフェポッドを使うことでクリアできる。
Musetti(ムセッティー) ロッサ カフェポッド 24ポッド入り箱

Musetti(ムセッティー) ロッサ カフェポッド 24ポッド入り箱

カフェポッドを使えば、淹れるときに考えることは1つだけになる。湯を出すスイッチを何秒間入れておくか。それだけ考えればいい。ストップウォッチなどで正確に20秒計るなり、計量カップで抽出量を正確に計るなりすればいい。
カフェポッドを使わない場合、抽出結果に大きな影響を与える変数が増える。コーヒー豆の挽き加減、粉の量の計測、粉をプレスする強さ。これらによって、お湯を出す秒数の正解が変わる。 つまり、コーヒーの味が変わる。そして、「今回のコーヒーが失敗したのは、粉の量のせいか?プレスする強さのせいか?そもそも豆の挽き方か?」を判別するのがとても難しい。
というわけで、デロンギの EC221 は、豆から挽いてエスプレッソを淹れるのには向いていない。少なくとも、入手直後には避けたほうがよい。まずはカフェポッドを使って機器の扱いに慣れ、その後、エスプレッソ用に挽かれた粉を買って使うのが適切な順序だろう。
付属のミルクスチーマについては、けっこういいものだと思われる。ミルクスチーマは、「スタバっぽいコーヒー」のもう一つの要素「泡立った牛乳」をつくるのに使用する。現状では、私はミルクジャグを購入できていないため、突っ込んだコメントはできない。

ビアレッティのモカエクスプレス

ビアレッティ 直火式 モカエキスプレス 3カップ

ビアレッティ 直火式 モカエキスプレス 3カップ

「マキネッタ」と呼んでいる。直火式エスプレッソメーカがある。これについては、以前の比較検討記事でも言及している。
自宅でちょっと本気出してコーヒーを淹れるための器具や運用などについて - うしとみ
自宅でスタバっぽいコーヒーを飲むにあたっては、マキネッタが正解だと私は思う。
ハンドドリップと比較して手軽であるかどうかは、残念ながらやや面倒だといえる。直火にかけるので、コンロが使える必要があるし、洗い物もちょっと面倒ではある。とはいえ、スタバっぽいコーヒーに不可欠なエスプレッソを淹れることは、ハンドドリップではできない。
私の作業の慣れの問題もかなりあるとは思うが、それでも、マキネッタは味の質がぶれない印象が強い。ある程度は適当につくっても、毎回ほぼ同じように美味しいエスプレッソが淹れられる。火加減、粉の量、水の量、火を止めるタイミングなど、変数は多いのだが、結果へのインパクトはあまりない。
なお、3杯立てのマキネッタは底の径が短いため、コンロに乗らないおそれがある。100円ショップなどで、餅焼き網などを探してきて合わせて使うとよい。

カリタのミルクフローサー

カリタ ミルクフォーマー ふわふわミルクフローサー ブラック FM-100#64197

カリタ ミルクフォーマー ふわふわミルクフローサー ブラック FM-100#64197

牛乳を泡立てるのに使う。この機種が特にいいのかどうかは、私はよくわからない。ただ、いろいろなコーヒー豆屋を見歩いても、ミルクフローサが棚に並んで売られているとしたら、この製品だ。カリタの営業力があるだけなのかもしれないけれど。

ミルクジャグはどうするべきか

デロンギ ミルクジャグ 350Ml ステンレス製 MJD350

デロンギ ミルクジャグ 350Ml ステンレス製 MJD350

ミルクジャグ(ミルクピッチャ)をどうするべきか。ステンレス製の小さなポットでこれに牛乳を入れて泡立て、エスプレッソにうまいこと垂らすと、まさに「スタバっぽいコーヒー」ができあがる。ラテアートなんてものもあって、コーヒーカップにミルクとコーヒーでかわいい絵を描いてみたいというのは、カフェ好きだったら夢見たりもするだろう。ラテアートにおいては適切なミルクジャグが必要らしい。
しかし、ミルクジャグは高い。こんなものに数千円を出すくらいなら、豆に金を使いたいと思う。プラスチック製の計量カップとかじゃダメなのだろうか。厚手のステンレス製であることで、熱伝導性になにか意味があるらしいし、注ぎ口の形状にもいろいろ特徴があるようだ。
ミルクジャグを買うかどうかは、自宅で飲みたいのがどんなコーヒーなのかを自分で分かっていないと決められない。あなたはラテアートをやりたいのだろうか? コーヒーカップに葉っぱの絵やクマさんの絵を描きたいのだろうか。それとも、スタバっぽいコーヒーが飲めればいいのだろうか。
もし、あなたが「スターバックスラテっぽいコーヒー」を自宅で飲みたいだけなのであれば、ミルクジャグは不要だ。背の高いマグカップを使えばいい。たぶん、すでに持っているマグカップで用は足りるだろう。

高い器具を買えばいいというものではない

自宅でちょっと本格的なコーヒーを飲むことは可能だ。インスタントコーヒー(最近はソリュブルコーヒーと言う)でも、けっこう美味しく飲めるものだし、1杯ずつマグカップに乗せて抽出するタイプのドリップコーヒーも安価ながら美味しい(お湯の注ぎ方には、ちょっとこだわった方が楽しめると思う)。
もしいまコーヒーを飲むときにミルクポーションを使っているなら、それを牛乳に変えてみると面白いだろう。その牛乳をさらに、カリタのミルクフローサーで泡立ててみると、もっと面白いかもしれない。その先に行きたければ、まずはマキネッタがいいんじゃないだろうか。
この記事は、せっかくデロンギEC221を我が家に迎え入れたのだから、紹介したいと思って書いた。悪い製品ではない。ただ、高価なわりには、あまり使いやすくはないし、使いこなすまでには気力が要求されるように思う。この記事が、自宅でスタバっぽいコーヒーを飲んでみたいとだけ思っている人たちの検討の助けになればと思う。