「お小遣い制」ではない家計システムの一例

結婚している知人から話を聞くと、「お小遣い制」で家計を回している家庭が、多く存在していることを知る。ここでいう「お小遣い制」とは、夫が妻に、夫の収入の全部または一部の管理を委託し、妻が生活にかかる支出のすべてを管理し、そのなかで夫に対して定期的に少額ずつ「お小遣い」(夫の裁量により使えるお金)を支給する、というようなシステムのことだ*1。この手法は、夫が主として働き、妻が専業主婦である場合に採用されやすいらしい。「お小遣い制」の場合、夫は自由になるお金が少ないことになるため、「へそくり」が発生しやすいと考えられる。

家計システムは、おそらく、世帯の数だけあるのだろう。ここで、私と私の妻が採用している方法を紹介したい。

私のところでは、「互助会システム」と言えそうな家計システムを採用している。これは、夫・妻それぞれの「財布」のほかに、「家計の財布」を用意し、夫婦がここに毎月決まった金額を入金し、家計にかかる支出はすべて「家計の財布」からまかなわれるというものである。この方法は、夫婦がともに安定した収入がある場合に便利がいいと思われる。
もう少し具体的に説明する。私たちは、毎月、自分の銀行口座に給与が振込まれる。ここから一定の金額を「家計の銀行口座」へ入金する。家賃・公共料金等は、家計の口座から引き落とされる。それぞれの生命保険の保険料もここから支払っている。また「家計のクレジットカード」を作っており、食費・外食費・日用品費等は、基本的にこのクレジットカードを用いて支払い、請求は家計の口座へ行われる。カードの使えない店での買い物のために、実際にも「家計の財布」が用意してある。コンビニや、個人経営の飲食店などでの支払いは、この財布から現金で行う。
家庭を経営していると、どこから出費するべきか判断に迷う支出が起こる。代表的なものが冠婚葬祭だ。身も蓋もない話だが、冠婚葬祭にはお金がかかる。
私たち夫婦には共通の知人が多いため、揃ってイベントに参加する際には「家計の財布」からお金を出すことと決めている。また、明らかに片方だけの知人についてのイベントの場合には、一定の割合の「補助」が家計からなされることと決めている。なお、共通の知人ではあるが、親しく付き合いのあるのは片方だけ、という場合もある。このときは案件ごとの協議とする、ということも決められている。結婚式については、「式・披露宴・二次会」のフルコース参加から、「二次会のみ」の場合などがあり、また、会場への交通費等も考慮する必要があるが、これらについても「補助金の適用範囲」が定められている。

ここまで紹介したような「互助会的な家計システム」が採用されているのは、私たち夫婦が、2年間の同棲期間を経ていることが原因であろうと思う。結婚という契約状況にない、しかし生活を共にするという同棲状態において、なるべくドライな金銭管理を求めた結果が、「互助会システム」だったのではないか。同棲状態の最大のメリットは、簡単に別れられることだ。付き合いを解消するにあたったとき、住居や物品の所有権についてトラブルを起こすのは面倒だろう。また、それまでの期間にどちらかが多く生活費を支払っていたとなると、これは後々まで遺恨を残しかねないと考えられた。こうした、同棲状態の解消に伴って起こりうると想定された金銭トラブルの回避のために、上記のような家計システムが形成されたのではないかと考えている。
以上で、「お小遣い制」ではない家計システムの一例としての「互助会的な家計システム」の紹介を終える。おそらく、世帯の数だけ、家計システムはあるのだろう。おもしろいやり方を実践している人の話を聞いてみたいと思う。

*1:男女が逆となる場合ももちろんあるが、より一般的だと思われる説明方法をとっている。